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徒然なる日々
第2章 新しい楽しみ
父がモバイル戦略部の部長になったのは、まさに知美にとって幸運だった。
父が勤めていたソフトウェア会社はシアトルに本社を置く外資系企業で、モバイル市場はこれから日本で拡大する事が早くも見込まれており、日本でもモバイルフォンの開発が進められていた。
そのプロジェクトの中心になった父は、当時出回っていた様々なPHSを研究する為、家族にPHSを与えた。まだ日本ではポケベルが主流であった当時に、知美は簡単にPHSを手に入れたのだ。
知美は掲示板で知り合った人の中で、何人かをピックアップし、PHSでやり取りを始めた。
相手は全員年上の男性。
同世代の男の子は、知美から見ると幼稚で人生経験も乏しく、魅力を感じられなかった。
それから数年が経ち、知美は自分のPCを手に入れていた。
知美は高校1年生になり、相変わらず吹奏楽部に入っていたが、前と少しだけ違うことがあった。
それは、知美に好きな人が出来た事だった。