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後宮艶夜*スキャンダル~鳥籠の姫君は月夜に啼く~
第5章 別離と再会
「済まない。こんな形で芳華と後宮で逢うことになるとは考えてもみなかった」
 皇帝の盛装をした法明が言う。その身にまとうのは龍袍(りゅうほう)だ。濃紺の絹に皇帝にのみ許される5本足の龍が雄々しく飛翔する文様が金糸で豪華に縫い取られている。
 美男の彼には様になりすぎるほど似合っている。こうして見ると、彼はやはりただの小間物売りの若者なんかじゃない。それは単に豪奢な衣装に身を包んでいるからだけではなかった。生まれながらの皇帝であり、辺りを圧するほどの存在感がある。だけど―。
 嘘、私の大好きな男は皇帝なんかじゃない。芳華は心の中でこの酷すぎる現実を懸命に否定した。
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