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後宮艶夜*スキャンダル~鳥籠の姫君は月夜に啼く~
第10章 後宮艶夜*スキャンダル 深き眠りの底で~浄心院での日々~
光徳帝にやっと逢えたのは既に皇帝が息を引き取って後で、冷たくなり果てた良人の頬に触れた紫蘭はゆっくりと別離を告げる暇もなく皇太后に部屋から追い出された。
本当にそれきりだった。哀しみに浸っている間に国を挙げての葬儀も終わり、紫蘭は先帝の后として後宮を出て浄心院に入った。
浄心院とは後宮を出た先代皇帝の后妃が余生を住まう言わば隠居所のようなものだ。後宮に暮らす女は三千ともいわれるが、その中で皇帝に直接侍る后妃の数はひと握りである。
本当にそれきりだった。哀しみに浸っている間に国を挙げての葬儀も終わり、紫蘭は先帝の后として後宮を出て浄心院に入った。
浄心院とは後宮を出た先代皇帝の后妃が余生を住まう言わば隠居所のようなものだ。後宮に暮らす女は三千ともいわれるが、その中で皇帝に直接侍る后妃の数はひと握りである。