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後宮艶夜*スキャンダル~鳥籠の姫君は月夜に啼く~
第10章 後宮艶夜*スキャンダル  深き眠りの底で~浄心院での日々~
「待っ」
 待ってくれと伸ばした指先が空しく宙をかいた。彼にとっては、たった今、めぐり逢ったばかりの娘こそがある日ふいに懐に飛び込んできた小鳥だった。
「曺紫蘭」
 男は名残を惜しむかのようにその名を幾度か繰り返した。
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