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第11章 後宮艶夜＊スキャンダル　接近～二つの心～

　牡丹園のひと言が紫蘭の心をきりきりと軋ませた。二人の始まりとなったあの場所、叶うことなら、あの瞬間へと刻を戻したい。が、紫蘭は敢えて己れの心の真実から眼を背けた。
「もし、そのようなことになれば、先帝陛下が哀しまれます」
　刹那、紫蘭の背に回されていた皇帝の手がかすかに震えた。それは透徹そのものだった皇帝がその夜初めて見せたわずかな動揺であった。