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第13章 後宮艶夜＊スキャンダル　嫉妬～心に巣喰う魔物～

　そのまま翠容が無事に兄の許に手紙を届け、それが兄の眼に触れていたならば、事態は今とは違っていたかもしれないのだ。思えば、胡太后は翠容を殺したことによって、自らの最も怖れていた事態に荷担し、かえって紫蘭を皇帝の許に送る片棒を担いだ形になってしまったのだ。
　皇帝と兄蒙義は若い頃からの友達でもあった。皇帝はどちらかといえば文よりは武を得意とする。そんな関係から、兄はこの宮殿では誰からも顧みられなかった日陰の皇子とひそかに親交があった。