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後宮艶夜*スキャンダル~鳥籠の姫君は月夜に啼く~
第13章 後宮艶夜*スキャンダル 嫉妬~心に巣喰う魔物~
 紫蘭は皇帝が挿してくれたばかりの紫蘭の花に触れた。細やかな優しさが思いの外嬉しくて、思わず微笑みが浮かぶ。そんな紫蘭を皇帝がこの上ない慈しみに溢れたまなざしで見ている。時折眩しそうに眼を細めるのは、きっと初夏の陽差しのせいだろう。
 そっと差し出された大きな手に紫蘭はごく自然に自分の小さな手を絡めた。爽やかな風が紫蘭の花たちの間を通り抜ける。二人は手を繋いだまま、幸せな時間が過ぎゆくのを惜しむかのように花を眺めていた。

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