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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第3章
「貴女が悪いのです。いつも男に興味が無いという素振りをされながらも、匂い立つような無垢な色香を周りに振り撒き続けられる、あなたが――っ」
何故この自分が、執事からそんな糾弾を受けねばならないのか?
色香を振り撒く?
自分の不手際を棚に上げ、何を言っているんだ、この男は。
噛み付かんばかりの険しい表情で睨み上げるも、
「17歳の頃、ロンドンのお屋敷で、されていたでしょう?」
リーヴのその問い掛けに、
はらわたが煮えくり返っていたヴィヴィは「はぁ!?」と怒気を込めて聞き返す。
「お嬢様の客室の洗濯物から、性行為の痕が見受けられました。
しかし廃棄物の中に、避妊具は一切見つかりませんでした……。
あんなに清楚で、幼さの残る子供だった貴女が、
誰にどのように抱かれているのか。
そして、中に出すことを許しているのか。
非常に興味が湧きました」
「……――っ」
(な……っ あ、主の洗濯物を物色していたのっ!? この人、昔から……っ)
リーヴの隠し持っていた異常性に、頭の先からざあっと血の気が引いていく。
冷たくなった指先から全身へと、微かな震えが及び。
それはやがて、激しい震えとしてヴィヴィを襲った。
再度寄せられた唇に、気付くのが遅れ。
塞がれた暖かなものに、灰色の瞳がかっと見開かれる。
「……ん~~っ ぃ……ゃあ――っ!!」
ぬめった感触に必死に頭を振り、ずれた唇の隙間から拒絶の声を上げるも。
角度を変えて、再び重ねられた唇。
けれど、
「……っ!? ふっ ……とんだ、野良猫ですね」
ばっと唇を離したリーヴ。
その下唇には、血が滲んでいた。
「このままでは終わる頃には、私が噛み痕と引っ掻き傷だらけになってしまう……」
咄嗟に唇に噛みついてやったのは、果たして正解だったのだろうか?
手首を拘束されていた両手が、一纏めに掴み直され、
リーヴは自由になった右手で、締めていた黒のタイを解く。
「……――っ い、いやっ やめてぇ……っ!!」
ヴィヴィが恐怖に顔を引き攣らせ、抵抗するのも物ともせず、
執事はそのネクタイで、細い両手首を縛り上げてしまった。