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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第20章          

座長として3日間のTwinkle ICE in 東京を終えた双子は、その翌日には英国へ舞い戻り。

そしてそれを追う様に、双子の両親がロンドンへとやって来た。

毎年恒例、お盆の英国里帰りである。

両親がロンドン(父方)とエジンバラ(母方)に滞在する10日の間にも、双子は例年通りに、

Twinkle ICE in ロンドン

Twinkle ICE in エジンバラ

それぞれの興行を行う事になっている。

それでもなるべく両親や親族と過ごせるよう、兄妹はフィギュアの時間以外は皆と楽しんでいた。

しかしその貴重な時間を、心の底から楽しめていない様子の人物が、約一名――

ロンドンの中心部からやや離れた邸宅の庭園で、藤編みソファーにふんぞり返った母・ジュリアンは、まだ日の高い時間からシャンパングラスを傾けている。

それ自体は通常運転なのでヴィヴィにとってはどうでも良いが、どうでも良くなかったのはその口から発せられた愚痴だった。

「私はね「匠斗と二人で来ればいいじゃない?」って言ったのよ? それなのに匠海ったら「匠斗のお受験の準備がある」とか「サマーキャンプに参加させる」とか言って!」

意外な事に匠海は、来月頭に三歳になる長男に “教育パパぶり” を発揮しているらしい。

初めて聞いた甥の教育事情に、その叔父であるクリスが尋ねる。

「お受験って、学習院……?」

「そうよぉ~~。そりゃあ自分の母校に息子を入れたい気持ちは解るけれどね? なにもお盆休みまでやることないじゃない」

美魔女と呼ぶに相応しく年を重ねても溌剌としたジュリアンが、まるで聞き分けの悪い幼女の様に唇を尖がらせ、更に不満をこぼす。

「それに「生の英語に触れさせたいからサマーキャンプに参加させる」って言うのなら、それこそ本場のここ(英国)に連れてくるべきじゃないの~~っ!?」

徐々にヒートアップしだしたジュリアンに、傍らの父・グレコリーはとうとうと諭す。

「まあまあ、匠海は所帯を持ったんだよ。結婚してから今までのほうが、恵まれていたんだ」

皆の話を静かに聴いていた母方の祖父母は、少し寂しそうな表情を浮かべながらも、グレコリーの言葉に頷く。

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