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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第21章 .
いつの間にか沈黙していたフィリップに気づき、顔を上げると、何故か端正な顔をこれ以上なくニヤつかせた男がいた。
「ちょ……っ!? なんでニヤニヤしてるのさっ!!」
「だってさあ~~。ヴィーは、俺になら出来たってことだろう?」
「……へ?」
(出来たって、何を?)
「弱み。自分の弱さを、俺になら見せられたってことだろう? しかも “クリスに” じゃなくて “俺に” ね」
自惚れとも取れるフィリップの発言に、ヴィヴィは咄嗟に反論しようとしたが。
しかし続けられた指摘にぎくりと肩を強張らせたヴィヴィは、息を飲み押し黙る。
「ヴィー?」
すっと表情を改めたフィリップから、ヴィヴィはバツが悪そうに視線をそらす。
「クリスに引きずられるな」
「……――っ」
ここのところの双子の不適切な関係を、フィリップはとうに見抜いていたのだ。
有り得ない事だけれど、今この瞬間、クリスとヴィヴィだけが異空間に飛ばされる――なんてファンタジーな事が起こったとして。
二人以外の誰も存在しない、倫理も規範も破綻した状況に置かれたとしたら。
正直なところ、何日……
否、何時間 “双子の兄妹を演じられる” だろうか――?
長兄のものと酷似した、執着を宿す双子の兄の瞳。
それを思い出したヴィヴィは、大きくぶるりと身震いすると、抱え込んでいた両膝を更にきつく引き寄せた。
「なんなら、もう一回ヤっとく?」
「……何、を……?」
恐々と膝の陰から問うヴィヴィに対し、フィリップはこれ以上ないほど自信満々に笑う。
「セックス。今は俺が彼氏だってこと、忘れないようにな」
「……っ す、する訳ないでしょ!」
彼と一度だけ交わした情交を咄嗟に思い出してしまったヴィヴィは、両の耳を真っ赤にしながら叫んだ。
「何で? 人肌はいいぞ~~。二人で気持ち良くなろうよ~~。ヴィーの乱れる姿、また見せて欲しいし。それにスッキリしたら、本番でもいつも以上の力を発揮できるかも?」
そう「セックスの利点?」をつらつらと並べながら、カウチに座るヴィヴィに伸し掛かろうとしてくるフィリップ。