この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第22章
Il me dit des mots d'amour
耳元で 貴方が囁く
Des mots de tous les jours,
愛の言葉に満たされた日々
Et ca m'fait quelque chose
私の心は魔法にかけられていく
フライングから入ったスピンは、キャメル・フォワード → キャメル・アップワード → ドーナツスピン、そしてハーフビールマンで締め括られる。
『う~~ん……。彼女の滑りを見ていると、何と言うか……音の化身という言葉がすっと降りてくるね。やはりバレエで培ったものなのだろう。しなやかな肩周り――そして、腕は肩甲骨が動いた名残り……。だから彼女の指先一つの仕草さえ、心を打つものがある』
『そうだね、そして、高難度のジャンプすらも ただの作品の一部という余裕もある』
SPの滑り出しから やや挑発的だった実況席が、徐々に氷上の選手が作り出す世界観に引っ張られていた。
Il est entré dans mon coeur
Une part de bonheur
私の心を捕らえた貴方
Dont je connais la cause,
幸せを分かち合う歓びを知ったから
C'est lui pour moi,
貴方は私だけを見て
Moi pour lui dans la vie
私はずっと 貴方だけを見て生きたの
35秒に渡って踏み分けられるステップシークエンスは、ハイドロブレーディングやイナバウアーを挟みながらも加速していく。
幼少の頃から愛にも金にも恵まれず、授かった子とも死別。
事故による大怪我。
酒と薬物に溺れながら、多数の男との浮名を流したシャンソン歌手・ピアフ。
142cmのその小柄な身体から溢れ出るのは、倍音を多く含みエネルギッシュで独特の歌声。
Il me l'a dit, l'a jure
貴方が そう言ってくれたの
Pour la vie
一生そうすると 誓ってくれたの
Et des que je l'apercois
貴方に出会えた その瞬間に
Alors je sens en moi, mon coeur qui bat...
私の胸が高鳴るのを感じたの