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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第22章
Il est entré dans mon coeur
Une part de bonheur
私の心を捕らえ離さなかった貴方
Dont je connais la cause,
幸せを分かち合う歓びを知ったから
C'est lui pour moi,
貴方は私だけを見て
Moi pour lui dans la vie
私はずっと 貴方だけを見て生きたの
Il me l'a dit, l'a jure
貴方が そう言ってくれたの
Pour la vie
一生そうすると 誓ってくれたの――
助走のステップの中、体の中央で180度開脚するバレエジャンプを跳び、そしてステップの後に踏み切ったのは――
『3回転ルッツ、3回転ループのコンビネーション!』
『Perfetto! Perfetto!! これは、いよいよ勝負は判らなくなってきたぞ!』
競技会場も実況席も、叫ぶような歓声と拍手で満たされていた。
Et des que je l'apercois
やっと貴方に出会えた あの瞬間から
Alors je sens en moi, mon coeur qui bat...
ほら、心のときめきを感じているのよ――
『SP最後の要素――』
バックエントランスからの キャメルスピン → Y字スピン。
そして脚替えからのキャノンボールスピン → パンケーキスピンと重ねる頃には、場内のボルテージは最高潮に達していた。
幼き日から父と街頭に立ち、その歌声で日銭を稼いでいたピアフのハミングは、歌詞が無くとも万人の心を掴んで離さない。
背後を一瞬気にしたヴィヴィ。
後ろから抱きしめてくる掌を掴み、目の前に持ち上げ己の両手で挟むと、そこに恐る恐る頬を寄せ。
やがて背後を振り向き、長身の男の頭上に両腕を回し、その首にしな垂れかかる。
そうして2分40秒に渡るSPは、バンドの残り香と共にフィニッシュした。