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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第3章   

「ん? 俺は好きだよ。お前が気持ち良くなってくれた後、じんわりじんわり、俺のを締め付けて名残惜しそうにしているの」

 金の髪の乱れを指先で直してやりながら、そう囁いた匠海は、

「まあ、そこをがむしゃらに突き上げたくなるのを、どれだけ我慢出来るかが、今の俺に課せられた使命な訳で――」

「へ、変態……っ」

 思わず突っ込んだヴィヴィに苦笑した匠海は、やがてゆっくりと上半身を起こし。

 まだ甘えたそうにくっ付いてくる妹の唇を、時間を掛けてゆっくりと綻ばせ始めた。

 今朝はあんなに頑なだった妹が、すぐにとろんとした瞳で兄を見つめ。

 自分からも夢中になって舌を絡ませ、ゆっくりと繋がったままの腰をくねらせ始める。

 兄は硬い。

 太くて逞しくて。

 もう、受け止めきれないくらい、長くて。
 
 なんだかそれは 

 “自分だけを永久に愛してくれる”

 そんな、匠海なりの誓いにさえ思えて――。

「……~~っ」

 お兄ちゃん。

 お兄ちゃん。

 お兄ちゃん。

 ああ、やっぱり。

 自分はこの男以外を、知らなくていい―― 

「……おに、ちゃ……ぁん、もっとぉ」

 有り得もしない幻想を抱きながら、ヴィヴィはひたすら兄を求める。

 今この時だけは、目の前にいる匠海は自分だけのもの。

 きっと、それだけは間違い無い筈だから。

「可愛いっ ああ、もう俺は、ずっとお前に骨抜きなんだよ……っ」

 そう囁いた匠海の声の方が、ヴィヴィのそれよりずっと、夢見心地だった事に、

 その時のヴィヴィは、全く気付けなかったのだ。







 8月4日(金)。

 レースのカーテン越しに差し込む日光に、目を覚ましたヴィヴィ。

 当たり前の様に自分を胸に抱き寄せる匠海の、その寝顔は安らかで。

 でも、見上げるヴィヴィの表情は、何とも言えないものだった。

「………………」

 2泊もしたのだ “ここ” に――。

 考えたくは無いが、

 自分が兄の妻だったとして、その夫が2泊も行方知れずだったら、
 
 ヴィヴィなら気が狂いそうになって、ずっとスマホに電話とメールをしまくっていると思う。

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