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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第4章     

 何と言うか……ああ、あれだ。

 本当の親友だったら、いくら長い間 連絡を疎かにしていても、

 会ってすぐに昔の状態に戻れるという安心感が、そうさせてしまって――。

「ふふ、冗談です。再開出来た事があまりにも嬉し過ぎて、勢い余って虐め過ぎてしまいました」

 抱擁を緩めた朝比奈の顔には「してやったり」という表情が浮かんでいた。

「もうっ」

 ガキっぽく頬を膨らませた主に、執事は心底安心したように抱擁を解いて離れた。

「朝比奈。1週間、クリスのこと、よろしくね?」

「はい、畏まりました」

「あ、ダリルも、ついでにお願いね?」

 同居人の事を思い出し、付け加えたヴィヴィに、

「 “ついで” って何サっ  “ついで” って!」

 いつの間に2階に上がって来たのか。

 戸口からひょっこり顔を覗かせたダリルは、不服そうに赤く塗った唇を尖らせていた。

「あはは、ダリル。ごめ~~ん」

 笑って誤魔化そうとするヴィヴィと、執事の間に割り込んだダリルは、

「フンだ。ヴィヴィのいない間に、アタシ、朝比奈と超親しくなっちゃったんだからネン♡」

 まるでぶら下がる様に、朝比奈の腕に纏わり付くダリルと、微笑みを湛えたままの執事を見比べ、

「…………、あ~~~」

 ふむふむ頷き、ポンと両手を叩いたヴィヴィは、

 何かを心得た様子で、朝比奈に にっこり笑いかけた。

(なんだぁ~~、朝比奈 “そっち” の性癖だったんだ~~)

 以前、自分の全裸を目にして、最後には反応していた執事に関する記憶――など、すっかり忘却の彼方だったヴィヴィ。

 理解ある主として、大好きな2人を祝福しようとしたが、

「ち、違いますお嬢様! 私は女性が物凄く好きですっ」

 ヴィヴィの勘違いを、珍しく焦った様子で訂正してきた朝比奈は、

「え? “物凄く好き” なの?」

「あら、そんなに女好きなのォ~~?」

 女子2人(?)に速攻 突っ込まれ。

「あ……、いえ。……ええと……」

 2人を見比べながら、おろおろする執事の様子が面白くて、

「あははっ」

「やぁだ、可愛い~♡」

 賑やかに笑い合ったヴィヴィとダリル。

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