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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第1章
取り払った黒のベールを受け取ったクリスは、それがまるでヴィヴィ本人であるかのように抱きかかえ。
リンク中央、立ち尽くすクリスの白シャツの腕に、腕を絡ませたヴィヴィが、そっと己の額を押し付ける。
けれど、クリスはそんな妹から視線を背けてしまい――。
ヴィヴィ自身も、匠海と葉山で喧嘩した頃に練習していた、そのピアノ曲に乗せ滑り出して行く。
バレエ『椿姫』――
フランス・パリの社交界。
高級娼婦マルグリットに、初対面で心を奪われたブルジョワ階級の青年アルマン。
彼の情熱的なアプローチに心を動かされたマルグリットは、アルマンに椿の花を手渡し、熱い想いを受け入れる。
パトロンの公爵との関係を断ち、真実の愛に生きようと決意するマルグリット。
しかし、元娼婦に夢中になった息子に、アルマンの父はマルグリットを訪ね「息子と別れて欲しい」と懇願する。
身分の違いを承知したマルグリットは別離に同意し、1通の手紙だけを残して姿を消した。
アルマンは恋人を探し出すが、そこで見たものは、自室に男を招き入れるマルグリットの姿。
何も知らないアルマンは、マルグリットに裏切られたと思い込み、絶望する。
冬、パリのシャンゼリゼで2人は再会する。
マルグリットは病いでやつれきっていたが、
アルマンは元恋人への当てつけに、愛してもいない女性と付き合うが、やはり虚しさだけが募っていく。
一方、毅然と振舞っていたマルグリットも耐え切れなくなり、病苦をおして一晩だけアルマンの元を訪れる。
そこで踊られるのが、この “黒のパ・ドゥ・ドゥ”。
最初は彼女を拒絶しながらも、もう一度やり直せるのではないかと思うアルマンと、
彼に別離の事情を告げることが出来ず、また自分に残された時間は僅かだと覚悟もしているマルグリット。
すれ違う気持ちと抑え難い熱情に突き動かされ、2人は狂気のような最後の愛を交わす。