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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第1章  

 絶句したヴィヴィは、テレビカメラの前ということも忘れ、

「~~~~~っっ!!!」

 声にならない絶叫を上げながら、飛んで逃げて行ったのだった。

 で――

 後に残された村下は、訳が分からずに ぽかんとしていたのだが、
 
 それでは収拾が付かないと悟ったのか、アディオンは肩を竦めながら、英語で短冊を読み上げた。

「 “僕はヴィクトリアを恋人にしたい” ――って、書いたんだよ。あははっ ヴィヴィは “からかいがい” があるねえ」

 冗談なのか本気なのか。

 6歳も年下のヴィヴィをおちょくったその人は、とても面白そうに笑っていたのだった。






「DREAMS ON ICE2023 トリを飾るのは、世界選手権2023 女子シングル金メダリスト 篠宮 ヴィクトリア選手です」

 鈴木アナウンサーの紹介に、解説の荒河が続く。

「今日は、昨シーズンのSPをショー用にアレンジし、滑ってくれるそうですよ?」

「曲は、バレエ『椿姫』より 黒のパ・ドゥ・ドゥ――」

 その紹介と共に、暗闇の広がっていたリンクにスポットライトが落ち、

 リンク右端――

 白シャツに黒ベスト・パンツ姿のクリスが、金色の髪を乱れさせ、片膝を立てて項垂れている姿が浮かび上がる。

「おや……、リンクの隅に座っているのは、お兄さんのクリス君……ですか?」

 鈴木アナの不思議そうな声に、

「そう、ですね。きっと、『椿姫』に出てくる 高級娼婦マルグリットを熱愛する青年――アルマン、ですね」

 荒河の指摘通り、クリス扮する “青年アルマン” は、重々しいピアノの和音にゆるりと頭を上げ。

 リンク中央に浮かび上がった、ヴィヴィ扮する “高級娼婦マルグリット” の傍へ、虚ろな表情で寄って行く。

 頭から黒レースのベールに覆われたヴィヴィ。

 フレデリック・ショパンの『バラード 第1番 ト短調』に乗せ、生白い右腕が黒ベールの内側から強張った掌で静かに剥ぎ取り。

 そこから露わになったのは、硬い表情を浮かべるヴィヴィ。

 金色の髪は真ん中で分けて後ろでお団子にされ、前髪も綺麗に撫でつけられていた。



――――――――

※バレエ『椿姫』: ショパンのピアノ曲で踊るバレエ

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