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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第5章
23時。
ディナー開始から3時間経過し、ようやくヴィヴィは両親との酒盛りから解放され。
アルコールで少々ふら付く足取りながら、手すりを握り大理石の階段を上っていた。
「おんぶしてあげるのに」
後ろからそう言いながら着いてくるのは、もちろん匠海。
先程から「転げ落ちそうで心配」と、3階の私室へ戻る妹に付き添ってくれているのだが、
如何せん、ヴィヴィはミニスカワンピを纏っているので、下から着いて来られるのは遠慮したいところ。
「結構ですっ っていうか、前歩いて」
短いスカートの裾を片手で庇いながら振り向いた妹に、兄は広い肩を竦めてしぶしぶ隣へと並び、
「はいはい」と苦笑しながら、階段を上り始めた。
「しかし、お前は本当にそういう格好が似合うな?」
「え?」
「ミニスカートのワンピース? 真っ直ぐで細長い脚なんて、もうお人形さんにしか見えない」
中2階の踊り場。
薄水色のワンピを纏った細長いシルエットを、頭のてっぺんから脚の爪先まで、しげしげ眺めて褒めてくる兄に、
妹はどういう反応をして良いか判らず。
「……誰だって、これ着たら、そうなる……」
ぼそりと呟きながら、あと半階分の階段を上り始めた。
ボートネックにウェストマークが高めで、裾に広がりを持たせたミニワンピ。
きっと誰が纏っても、脚長効果は充分に期待出来るだろう。
「謙遜して。ああ、そうだ。ヴィヴィに渡したいものがあったんだ」
「……渡したいもの……?」
ようやく3階まで上がりきったところで、ヴィヴィは微かに首を傾げ、匠海を見上げる。
しかし、
「すぐに行くから、待っててくれ」
匠海はそう言い置いて、左奥の私室へと戻って行った。
「何だろう?」と思いながらも、自分の部屋の扉を開くと、
ちょうどバスルームから、執事の五十嵐が出て来たところで、
「お嬢様、お疲れ様です。バスの用意はしてございます。ごゆっくりどうぞ」
微笑を浮かべる執事に、ヴィヴィも頬を緩める。