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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第5章    

「ありがとう。私は後は寝るだけし、もう大丈夫よ。明日は……え~と?」

 11時半 羽田発の飛行機で発つ為、何時に起きればいいのかと指折り数えようとすると、

「7時半より皆様と朝食のご予定ですので、7時に起床なさいますか?」

「あ、うん。じゃあ、そうするね」

「荷造りは済んでおりますので、そのままお休み下さい」

 手際の良い五十嵐に、ヴィヴィはにっこりし、

「ありがとう、おやすみなさい」

「お休みなさいませ」

 執事は就寝挨拶を述べ、リビングを出て行った。






 その1分後――

 ヴィヴィの両腕の中には、何故か藤色の薔薇があった。

 その目前には、微笑んだ匠海が立っていて。

 50本はあろうかという大きな花束。

 10cm大の花径を一輪 摘まんだ兄は、高い鼻を近付け、うっとりとした声音で続けた。

「いい香りだろう?」

 対するヴィヴィはというと、大きな瞳をぱちくりとし、

「……どうしたの、これ……?」

(これが “渡したいもの” ……?)

「うん。ヴィヴィにプレゼント」

 その一言で、小さな顔に何とも言えない表情が浮かび上がる。

 誕生日でも何かの祝いの席でも無く、もちろん記念日でも無い。

 そんな日に、兄からプレゼントを貰ういわれも無いし。

 更に、

「……「いらない」って、言った……」

 むすっと唸ったヴィヴィ。

 自分は3日前にちゃんと、匠海に気持ちを口にしていた。



『贈り物なんてっ もう金輪際、受け取りたくないっ!』



 だから、あの時の黒ワンピを、兄は持ち帰る事になったのに、

 何でまた、この男は同じ事を繰り返すのか?

「まあ、いいじゃないか。これなら後に残らないし」

「………………」

「気に入らないか?」

 困ったように微笑む兄に対し、妹の方は本当に困惑していた。

 花を貰って嬉しくない女性など、いないと思う。

 ショーや試合で、山ほど花やプレゼントを貰うヴィヴィでも、嬉しいのだから。

 いや、よっぽど嫌いな相手からなら、嬉しくないかもだが。

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