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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第5章    


 最愛の兄を楽にしてあげたい、幸せになって欲しい。

 そう願う心は、決して嘘では無いのに。

 その一方――

 こんなにも自分の虜になっている匠海を、目の当たりにすると、

 自身と同じ滾る苦しみを、この男にも共有し味わって欲しい――

 そう望む、邪まな気持ちも膨らんで。 


 勿体ぶって剥き出しの細い両腕を、ゆったりと持ち上げたヴィヴィ。

 その先の指を、兄の首の後ろで組み、

「どうしようかなぁ~?」

 上目使いに甘く囁けば、

「~~っ ああ、とんでもない小悪魔だ」

 灰色の瞳を険しく歪めながらも、けれど心酔した眼差しを向けてくる匠海に、

 ヴィヴィの中で何かが揺らいだ。

 組んでいた指先を解き、目の前の顔を覗き込みながら、

 ついぞ白いバスタオルを、ぱさりと音を立て、胸から解き落とせば、

「舐めたいっ 揉みしだきたい……っ」

 8日ぶりに、きちんと目にしたヴィヴィの裸体に、

 いつも冷静沈着な匠海は、興奮を隠す事も無く、目を血走らせていた。

 ふっと瞳を細めたヴィヴィは、細い顎をこましゃくれた仕草で持ち上げ、

 目の前の兄の顎をも、指で掴み上げる。

『Sie wissen zu gut, dass...
 ――よく解かったでしょ? つまり……

 dass Sie zu schwach sind,
 ――あたしと別れるには、弱すぎるのよ。

 um sich von mir loszureissen...
 ――あなたって人はね……』
 
 薄い唇から洩れた、ドイツ語の歌声は、

 匠海と別れざるを得なかったあの日から、ずっと恋い焦がれてきた『LULU』の歌詞。

 奥深くまで穿っている兄の分身が、ぶるりと大きく震えていた。

「ふ……。じゃあ俺は、今からヴィクトリアに “離別の手紙” を書かされるのか?」

 顎を掴まれたまま挑戦的な瞳を向けてくる匠海に、ヴィヴィも負けじと強く見据える。

「書きたいの?」

「お前が書かせてくれるなら」

 安易にそんな返事を寄越してくる兄にも、妹の大きな瞳は揺らがなかった。

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