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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第6章     

 8月12日(土)。

 現地時間16時に、ロンドン・ヒースロー空港に降り立ち。

 迎えに来てくれた執事・朝比奈の車に乗り込んだ途端、

「はふ~~、ロンドンは天国だぁ~~♡」

 腑抜けた声で発したヴィヴィは、東京との温度・湿度の差を、手放しで喜んでいた。

「お帰りなさいませ、お嬢様。昨日は38℃まで上がったらしいですね?」

 主を後部座席に導いた朝比奈は、トランクに荷物を積み込み、苦笑しながら車を発進させた。

「うん。家から一歩出た途端、一瞬、三途の川がよぎったもの」

 なにせ、この時期のロンドンの最高気温は23℃、最低気温は14℃。

 ねっとりと纏わり付く あの高温多湿から逃れ、心も身体も解放感を味わっていた。

「皆様お変わり無く、お元気でいらっしゃいましたか?」

「無駄にね~。こっちは特に変わった事、無かった?」

 後部座席から身を乗り出し、助手席のヘッドレストにしがみ付けば、

「そうですねえ。まあ、お戻りになれば、お分かりになるかと」

 含み笑いを漏らしながらも、安全運転を心掛ける朝比奈に、

 ヴィヴィは「ふ~ん?」と、呑気に小首を傾げるのだった。






『ああ、恐怖を覚えるほど、真っ白な腹だ……』

 あの人は、そう言って。

 まるで、先刻前の自分を真似る様に、薄い腹を撫でていた。

 大きな掌で。

 暖かな指で。

 己の陰茎を奥深くまで銜え込み、嬉々としている媚肉の具合を、

 視覚的にも味合わせよう、とでもいう様に。

『も……死んじゃっ あっ あ、ひゃうんッ』

 21歳となった今では、女としてほぼ完成形といえる躰。 

 最奥をトントンとノックされるだけで、全身が痺れ、抗う気力さえ削がれて。

『ん。イキたいね? でも、忘れない内に――』

 そう一人ごちた あの人は何故か、長いながい凶器を抜き取り。

 そして、

 白いシーツの上。

 くたりと弛緩する容れ物を抱き上げ、
 
 シミ一つ無い真っ平らな腹へと、唇を寄せていく。

『……っ ィたっ!?』

 ちくりと走った、表層の痛み。

 それは一度では収まらず、2度3度と与えられ。

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