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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第6章
屋敷に戻った双子はそれぞれ湯を使い、揃ってランチを摂り。
「昼寝……」
眠そうなクリスはそう呟きながら、2階へと上がって行った。
一方のヴィヴィは、
双子のマネジメントを請け負っている、ING LONDONのマネージャーから渡された、ファンレターに目を通す事にした。
屋敷の右奥に位置するライブラリー。
大きなソファーに両脚を投げ出せば、美しく整えられたイングリッシュガーデンの裏庭が望め。
その場で、先週の1週間だけで寄せられたという、50通超の手紙を開封していく。
(ん~……なになに……。
「ヴィヴィちゃんに笑顔が戻って、とっても安心しました。
あの弾けんばかりの笑顔を目にするだけで、私も嬉しくなって。
受験頑張るぞ~っ! ってなれるんです」
……まあ、可愛い♡)
今回は好意的な手紙が多かったようで、小さな顔に にまにま笑みを浮かべながら、読み進めていると。
「お嬢様、紅茶をお持ち致しました」
全く気配を感じさせず傍に寄った朝比奈に、柔らかな声で食後の茶を進められて。
「あ……。ありがと~」
キーマンとアッサムをベースにし、クロスグリが加えられた紅茶は、プリンス オブ ウェールズ。
蘭の花に似た高貴な薫りを愉しみながら、また手紙を貪り読み始めた主に、
「お嬢様……? それはもしや、ファンレターですか?」
執事は封筒の小山に視線を送りながら、そう確認してきて。
「え? あ……、うん」
便箋から視線を上げれば、
「私はまだ、目を通しておりませんが?」
不思議そうに尋ねてくる、朝比奈の姿があって。
「あ~……。そ、だねえ」
歯切れ悪くそう零したヴィヴィは、「しまった」という表情を浮かべ。
恐るおそる己の執事から、視線を外す。
「もしや前任者は、ファンレターのチェックは、していなかったのですか?」
朝比奈の鋭い確認に、
(あ~……、やっちゃった……)
ヴィヴィは胸の中で頭を抱えるも、時 既に遅し。