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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第6章
ちなみにピムスとは、紅茶と並んで英国で有名な飲み物。
ジン、キニーネを2倍の量のレモネードと混ぜ、ミントと切り刻んだキュウリやフルーツと漬け込んだ、爽やかなフルーツ・カクテル。
ただ口当たりが軽いため、ついつい飲み過ぎてしまうのも恒例で。
夕暮れ前にウトウト船を漕ぎ始めた円は、夕暮れ時には太一に凭れ掛かって爆睡していた。
そして、シャンパンをパカパカ空けながらも、シラフ同然のクリスは、ただ甘えて妹の膝枕で芝生に寝転び。
その横では、朝比奈にいちゃいちゃ絡むダリルの姿。
「うん、平和だ」
しっとりとしたジャズに耳を傾けながら、シャンパンを飲み下すヴィヴィに、
「はは。平和だね」
漏れてしまった独り言――を聞いていたらしい太一に、そう同意されて。
思わず「ふふ」と笑ってしまった。
「そうそう。ヴィヴィちゃんが6月にHPで、今シーズンの曲を発表しただろう? FSの『カルミナ・ブラーナ』、日本各地で公演が予定されてるらしいよ?」
ちなみにN饗(NHK交響楽団)でも同曲の公演があり、「もちろん、行く予定」と言うN饗・定期会員の太一に、
ヴィヴィは「いいな、いいなぁ~~」と、心底羨ましげに唸ったのだった。
夜も更けた頃。
オックスフォードの屋敷に帰宅した一行は、そこでも酒を酌み交わし。
「ふわわ……。ダメだ、私。もう寝るぅ~~」
昼からずっと飲んでいるため、一番 酒に弱い円は限界を訴え、リビングのソファーから立ち上がった。
「マドカ、階段、大丈夫?」
結構な飲酒量だったので、ヴィヴィが心配そうに問えば、
「だいじょうぶ~~。ふわわっ」
また大きな欠伸を零す円に、隣に腰かけていたクリスが立ち上がった。
「心配だから、送ってく……」
すかさず、ダリルが甘い声を上げ、
「クリスったら、紳士よねェ~❤」
円まで、
「なになに? クリス、私に気があんの?」
そうカラかってくる始末。