この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第6章
「私……、マドカと太一さんが凄く仲良いから、そんな事 全然気付かなくて……」
多分 自分は、円に告白されて少し混乱していたのだと思う。
だから、太一に話す事で、己の中で整理したくて。
「うん」
暖かな相槌に、細い眉根がきゅっと寄る。
「あの……。知らなかったから、もしかしたら、マドカの前で、無神経な事とか、言ってなかったかって、気に……なって……」
尻すぼみになってしまったが、ヴィヴィは自分の今の気持ちを、そのまま太一にぶつけていた。
太一とは出会いからして訳アリだったからか、不思議と何でも話せて。
匠海に裏切られた時も、ヴィヴィが唯一 愚痴る事が出来た相手も、この太一だけだった
「はは。円はそんな事、気にする子じゃない」
からっと笑い飛ばす太一に、少し心が軽くなって。
「はい……」
「ヴィヴィちゃんだって、分かってるでしょう?」
真っ直ぐ見つめてくる太一に、こくりと頷く。
「ん……。ですよね。マドカは、本当に気持ちの良い子。いつも明るくて前向きで、私の憧れなんです」
もう5年もの付き合いになるが、円が後ろ向きで腐ってるところなんて、ヴィヴィは一度も見た事が無かった。
「ありがとう。円も同じこと、ヴィヴィちゃんに思ってる」
まるで自分を褒められた様に、嬉しそうに瞳を細めた太一に、
「ふふ。だといいな……」
(対して自分は、いっつも顔に気分が出るから、一杯心配掛けてるんだろうなあ……)
そう反省もしつつ、ヴィヴィは納得した。
何だか胸のつかえみたいな物が取れた気がして。
ほっとしながら、ブルゴーニュの赤が注がれたワイングラスを傾けていると、
「そうか……。じゃあ、うちの両親の願望も聞いた?」
太一が発した話の続きに、
「ご両親の願望?」
聞き覚えの無いヴィヴィは、金の頭をこてと傾ける。
「ふふ、本当に困った親でね……。「従姉でもあり 親友夫婦の忘れ形見の円と、ず~~と一緒に暮らしたいから、息子と結婚させる」って、あの子を引き取った頃から、ずっと言い続けてて……」