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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第6章
ロンドン・ヒースロー空港 8:00発、エディンバラ空港 9:15着のフライトで移動した、TWI御一行様。
エディンバラ市内へ移動すると、貸切にしたオープントップのダブルデッカーバスに乗り込み、エディンバラ観光へと出掛けた。
旧市街にそびえ立つエディンバラ城では、歴史情緒に目を向け、耳を傾け。
加えて、石造りの要塞にまつわる、おどろおどろしい怪談話にも縮み上がり。
城下を降りれば、中世そのままの街並みを残す旧市街を散策した。
石畳の道に石造りの建物――まさにハリー・ポッターの世界に、迷い込んだかのよう。
「さっきから、ゴーストツアーの看板、よく見るね?」
米国のヴィヴィアン・リーが、隣を歩くクリスに そう尋ねれば。
「まあね……。エディンバラの街全体が “ヨーロッパ一番のホラータウン” って言われてるから……」
その説明に、後ろを歩いていたヴィヴィが、「ふぎゃっ」と変な悲鳴を上げる。
「幾つもの戦争で、破壊と再建が繰り返され……、その犠牲者の魂が、彷徨っているらしい……」
無表情のまま、双子の兄が続ける言葉に、
「ひえぇええっ」
奇声を上げるヴィヴィ。
「ヴィヴィ、五月蠅いわよ~」
傍を歩いていたマリア渋谷に、こつりと拳骨を落とされた。
「中でも不気味なのが、 地下街……」
クリスの怪談話が怖いなら、耳を塞ぐか離れればいいのに、
「ひゃわわわわっ」
ヴィヴィは青くなりながらも、その傍を離れようとしない。
「昔は、富裕層は地上に住み、貧困層は地下で生活していてね……。というのも、下水設備が整ってなくて、排せつ物を窓から投げ捨てて、かなり不衛生だったんだ……」
灰色の瞳を細めながら、語りを止めぬクリスに、
「へえ、今は素敵な街並みなのにね?」
きょろきょろ辺りを見回す浅田は、全然怖そうじゃなく。
―――――
※英国スコットランドの首都エディンバラは、ハリー・ポッターが執筆された地としても有名