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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第7章
一瞬、ぱちくりとしたヴィヴィ。
それもその筈。
言われた通り、ぱっと視線を下げて自分の姿恰好を見下ろすが。
着衣の乱れは ほぼ無く、下着も着用済み。
それに――
「………………」
匠海と躰を繋げた翌日、必ず感じる あそこの疼き & 若干のダルさ は、今は感じられなかった。
(よ、良かった……してないや……)
「ふはぁ……」と、大きく安堵の吐息を吐いたヴィヴィ。
しかし、
「うわあっ もうこんな時間!? と、とにかく、私! も、もう行かないと。皆に心配掛けちゃう~~っ」
ふと視線に入った、ベッドサイドのデジタル時計に、驚嘆し。
一目散にバスルームへと飛び込んでいく。
(髪は……くんくん、まあ、昨日のシャンプーの香りが微かにするから、大丈夫っ)
髪を簡単に結わえ、洗顔・歯磨を超特急で済ませたヴィヴィ。
時刻は8時前。
今日を最後にまた、他のスケーター達と離ればなれになる為、皆と朝食を摂りたくて。
小さなクローゼットを開き、マキシ丈のボーダーワンピを選び出し。
今 纏っている、ホテル備え付けのナイトウェアのボタンを外し始める。
が――、
後ろからビシビシ突き刺さってくる視線に、くるりと背後を振り返れば。
まだベッドの中で のんべんだらりんしていたらしい匠海が、こちらを興味深そうに見つめていて。
「な、何見てるの?」
思わず、どもりながら尋ねる妹に、
「ん? ヴィヴィ生着替え?」
悪びれる事も無く、いけしゃあしゃあと返す兄。
「……変態……っ」
「まだ見てないのに、変態呼ばわりされても」
不服そうに一人ごちた匠海は、それでもやっと、ベッドから降りて。
少し皺になったシャツをぱっぱと手で払い、「邪魔したね」と言い置き、出て行こうとする。
「……ねえ……」
思わずそう呼び止めてしまって。
「うん?」
リラックスした様子で振り返った匠海に、ヴィヴィは現状の根本を思い出して問うてみた。
「いったい、何をしに来たの?」