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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第7章
ピンク色の薄手のニットに包まれた逞しい躰は、
自分が片手で押しただけでは、びくともする筈が無いのに。
簡単に黒ソファーの座面に倒れていく兄が、
今頃 思い出したらしく、確認してくる。
「エステは?」
黒のチュールスカートに隠れた両膝が、
兄の腰を跨ぎ。
「こっちのほうが、断然気持ちいい」
まだ肘立ちで、座面に寝転んでいない兄の顎下を、
細い指先がチロチロと擽る。
こっちのほうが、断然気持ちいい。
セックスのほうが、エステより気持ちいい。
そうね、確かに気持ちいいわ。
例え、互いに猫を被り合った、
化かし合いだったとしても。
私は兄と交わる行為に、
代替えの利かない快感を覚えている。
「確かに、ね――」
妹の言い分に くつりと嗤った、兄の瞳の中、
性欲に溺れた自分の、醜い貌が映り込んでいた。
ああ、私は、
本当の大馬鹿モノ、だ――
頭ではそう解っているのに。
夕日が微かに差し込み始めた室内。
漆黒のソファーに折り重なる2つの影は、
その後、離れる事は無かったのだ。