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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第7章
1時間半近く、抱き潰された挙句、
「ヴィクトリア、沢山イケたね?」
なんて無粋な事を囁きながら、ぐったりした妹の躰を、嬉々として洗う兄に、
「……ツボ……」
妹は据わった瞳で言葉少なに、せめてもの抵抗を見せていた。
「ん? ああ、そうだった。俺が “生殖器” のツボ、刺激しちゃったからだね?」
「…………ふん、だ」
満面の笑みで覗き込んでくる色男から、ぷいと顔を反らすものの。
「……~~っ」
(だから変な洗い方するなあこんにゃろお)
泡に塗れた指先で、薄紅色の小さな尖りをぴんぴん引っ張る匠海は、中々止めてくれず。
また甘い声で啼かされたヴィヴィは、白いバスタブの中、縁に顎を預け、
兄が逞しい躰を清める様子を、恨めし気に見上げていた。
え?
「お兄ちゃんの身体、洗ってあげないの?」って?
何で私がそんな事、しなければならないの?
“愛人” でも、無いのに――。
丁寧に長い髪を乾かされて、バスローブまで着せて貰って。
時刻は19時。
ヴィヴィの腹の虫が、泣き始める時間帯。
「ディナー、食べに行こうか」
そう促してきた兄に、妹は白いキングサイズのベッドの上、
「……腰、立たないんですけれど……」
こんな状態にした兄を、ねめつけていた。
「おや、おかしいな?」
全く心当たりが無いと嘯く匠海は、ヴィヴィとは対照的に、
溜め込んでいたものを発散出来た様子で、いっそ清々しささえ漂わせていた。
(何で一人そんな元気なんだようこんにゃろう)
「……美食に美酒は?」
エステはもう いらないから、それくらいは約束を守って貰わねば。
「じゃあ、ルームサービス取ろうか」
「……むう……」
不服そうに薄い唇を尖らせ、ぶーたれるヴィヴィに、
「なんなら、抱っこしてレストランへお連れ致しましょうか? お姫様?」
そんな妹でさえ可愛いとでもいう風に、兄は相好を崩し覗き込んでくる。
「……っ 結構ですっ」