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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第9章
『本当。だから、頑張れよ? 来月のエリック・ボンパール杯』
11月頭、双子にはGPシリーズ2戦目となる、フランス大会が控えていた。
NHK杯で1位だった両者は、そこで3位以内に入れば ほぼ100%、ファイナルへ進出 出来る筈――
「う、うんっ 頑張る! 私、死ぬほど頑張るっ」
なんせ、今シーズンの自分の目標は「死ぬ気で頑張る! 死ぬほど頑張る!」だし。
ミカエルターム(1学期)のど真ん中の試合だが、そう決意したヴィヴィに、
『 “死ぬほど” は頑張んなくていい』
匠海はそう、注意を促すのを忘れなかった。
「これから出社する」という兄との通話を終了し。
ベッドに潜り込んだヴィヴィは、つるつるのネイルに薄い唇を触れさせた。
視界に入る度に、幸せな昨夜の想い出が蘇えり。
その一方。
ジェルネイルとはやはり違うので、もって1週間くらいであろう このネイルの儚さにも、切なさが込み上げて。
「………………」
しばらく暖かなベッドの中で、ぼんやりしていたヴィヴィ。
しかし、枕に乗せた頭を ゆるゆると降ると、
(2ヶ月後には、会えるんだから……)
そう己に言い聞かせながら、微睡へと落ちて行った。
翌日。
朝の練習から戻った双子を出迎えたのは、何故か頬を紅潮させた同居人――ダリル。
ちなみに今日はお出掛けの予定があるらしく、気合の入った女装だったりする。
「ふ、2人ともっ 大事件ヨ~~っ!!」
がしっと双子の片腕を、それぞれ掴むダリルに対し、
ヴィヴィは「ん~~?」と呑気だし、
クリスに至っては「大事件……?」と応じながらも、眠そうにあくびを噛み殺している。