この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第9章
「もうっ 2人とも能天気なんだかラ! 聞いて驚くな~!?」
全く興味を示す様子の無い双子に焦れたダリルは、そう己でハードルを上げ。
そして、
「なんと、モニャコ公国の皇太子が、オックスフォード大学に編入したらしいのヨンっ!」
まるで世紀の大発明の発表をするかの如く、自信満々に “大事件” の真相を語ったが。
双子の反応と言えば、
「「へ~~」」
と、心底どうでも良さそうなそれだった。
「「へ~~」って! やる気無いわネ、2人ともっ 特にヴィヴィっ あんた女でしょ!」
(パット入りの)胸の前で両拳を握りしめ、何故か憤慨する同居人に、
「うん。一応、遺伝子的には」
後ろで一括りにした金の頭を、縦に振ったヴィヴィ。
「王子よ! リアル王子っ 白馬の王子さまぁ~~っっ」
華奢な両腕を掴み上げ、ガクガク振って力説してくるダリルに、
「は、はあ……」
ぽかんとしたヴィヴィは、されるがまま。
そんな妹を庇ってか、クリスが眠そうに尋ね返す。
「というか……。どうしてダリルは、そんなに興奮してるの……?」
遥か昔から、同大学には世界各国の王侯貴族達が在籍し、今はいないが数年前にも居たらしい。
(モニャコ公国……? あの、タックス・ヘイブンで、億万長者ばかり住んでる、ちっこい国だよね?)
正直、世界の王族・皇族に疎いヴィヴィは、モニャコ公国については知っていても、皇太子にはピンと来なかった。
「ん~~っ! だって、すんごいイケメンなんだって。もう、いいから、とにかく見に行こうヨ~~っ!」
なるほど。
“美形大好き” なダリルが興奮する理由は、そこにあったのか。
「あ~~、私はいいや~~」
手にしていた(スケート用品の入った)スーツケースを朝比奈に手渡しながら、ヴィヴィは誘いをやんわりと断った。