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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第10章     

 ミカエル・ターム(1学期)も第5週目に入り、残すところ4週となった頃。



「もうっ し~つ~こ~い~~っ!!」



 オックスフォードの2階建ての屋敷には、ヴィヴィの悲鳴交じりの怒号が轟いていた。

 それは、

 毎週毎週 繰り返される、チュートリアル(個人指導)に対してでも無ければ、
 
 もちろん、

 甘えて膝枕を強請ってくる、大好きな双子の兄に対してでも無い。

 じゃあ、何に対してかと言及するならば、

 それは、ここ4日間、

 小さな頭を最大限に悩ませている出来事に対して――だった。

「しつこい? 心外だな~。俺はこんなにも、ヴィーに対して誠意を見せているというのに」 

 ヴィヴィに「しつこい」呼ばわりされた男は、逞しい胸の前で大げさに両手を広げ、1歩 こちらへ歩み寄るも、

「ぎゃあっ!? ち、近付くな~~っ これ以上!」

 まるでゴキ○リに対する酷過ぎる反応で、その場から飛び退くヴィヴィ。

(190cmの大男である事、ちっとは自覚しろってのっ!)

 目の前にそびえ立つ巨人――もといフランス男を睨み上げるも、

 相手は全く意に反さず、にっこりと微笑んでいた。



 どうして、こんな状況にあるかというと、

 話は1週間前に遡る――。





↓↓↓長い回想 開始↓↓↓





 11月10日(金)~12日(日)

 フランス・ボルドーで開催された、エリック・ボンパール杯(フランス大会)。

 GPシリーズの第2戦として参戦した双子は、ミカエル・タームの第4週目というキツイ状況にも関わらず、

 クリス  → SP1位 FS1位 総合1位

 ヴィヴィ → SP1位 FS2位 総合1位

 それぞれ健闘し。

 GPシリーズの最終戦である、GPファイナル in フランス・パリへの派遣が確定した。

 クリスは相変わらずのクールさだったが、ヴィヴィは表彰台に上った瞬間、涙ちょちょ切れていた。

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