この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第10章
「………………」
(いかんいかん……。最近、口悪くなってきてるな、私……orz)
そう自分を窘めたヴィヴィは、華奢な肩を竦め。
次のレクチャーの為、席を立ったのであった。
そんな ささくれ立った(?)ヴィヴィの心を癒してくれるのは勿論、
毎日掛けられてくる、匠海からの電話だった。
『SPの、後ろ脚を跳ね上げる仕草、色っぽくていいよな~』
日本の朝の爽やかな空気を身に纏う、兄のその言葉に、妹は灰色の瞳を更に輝かせた。
「ほんと? 嬉しい~♡」
SPのテーマは “タンゴ”。
特にアルゼンチン・タンゴは、酒場で娼婦が男を惹き付ける為に踊ったとも言われており。
その特徴的な振付を褒めて貰えるのは、やっぱり嬉しい。
それが、最愛の男からなら、尚更――
なのに、
『ああ。あの挑発的な瞳にゾクっとして。思わず「どうかスケート靴で踏んで下さい、女王様」って、言いそうに――』
ヴィヴィが思っていたのとは真逆の匠海の返しに、思わず「変態っ!」と喚けば。
『あははっ』
白い歯を零しながら笑う画面の向こうの兄は、心底 愉しそうだった。
(スケート靴で踏まれたいなんて、どこのドMだ~~っ!?)
というかブレードで、服も肌も切れるかも。
「てか……。お兄ちゃん、ま、まさか……SM、好きなの……?」
恐る恐る問いながらも「好きだから、したい」と懇願された後の事など、何も考えて無かったヴィヴィ。
『え? SM? う~~ん。痛いのも熱いのも嫌だし。「この白豚っ」って罵られても、嬉しくも何とも無いけど――』
「そ、そう……」
兄の返事に、心底 安堵したのも束の間。
『ああ、でも。ヴィクトリアがボンテージ着て、俺の上で鞭 振りながら、愛らしく跳ねてくれれば――』
そんな無茶な要求をしてくる匠海を、
「この変態っ!!!」
ヴィヴィは速攻、一喝してやったのだった。