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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第10章     

 その日の内に、フィリップは行動を起こし、それが世界各国に配信されたが。

 夜になっても、篠宮邸の周りにはマスコミが張り付いていたし(でも、夜練には行った)。

 そしてダリルは、

「え~~。『王子はダリルと恋仲♡』が良かったのにィ~~」

 と、不服そうなのだった。

 ちなみに、英国のテレビ各局では 繰り返し、

 『恋多きフィリップ王子の女性遍歴』

 を、元カノの写真とプロフィール付きで、流し続けていたのだった。





 11月26日(日)。

 翌日も、日・英・仏のマスコミに追い掛け回されたヴィヴィ。

 このままでは試合の準備も、大学生活もまともに送れないと判断し。

 結局、その日の夕方。

 本人の口から一言だけ、マスコミに対して釈明する場が設けられた。

「この度は、私事でこの様な事態を引き起こし、大学関係者・スケート関係者等、多大なご迷惑をお掛けした事実を、深くお詫び申し上げます」

 オックスフォードSCの裏出口。

 そう切り出したヴィヴィに、大勢の報道陣からは、幾つもの問いが投げかけられた。

 だが、

「あの……。私、ご存知かと思うのですが、もんのすご~~く不器用……なので。正直、大学のノルマと、試合の準備で、本当に一杯いっぱいなんです。あの、噂になっている様な事実は、一切ありませんので、すみませんがそっとして置いて貰えないでしょうかぁ……(´;ω;`)」

 毎週のチュートリアルの準備で、睡眠不足・疲労困憊のヴィヴィの、目の下に深く刻まれたクマと、

 未だあどけなさの残る小さな顔に浮かぶ、あまりに しょぼくれた表情に、同情してか。

 日本とフランスのメディアは、それ以降はしつこく付き纏う事は無くなった。

 と言うか。

 本人のコメントも取れたので、とっとと本国へ帰って行った。

 だが、ゴシップ大好き英国パパラッチだけは いつまでも、

 それこそゴキブリの如き粘着さで、ヴィヴィの行く先々に張り付いていた。

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