この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第10章

ちなみに昨日の関係者打ち上げで、シャンパン1杯で爆睡したのは、酒に酔ったからではなく。
精神的肉体的に限界状態のところに、酒を口にして緊張状態から解放された途端、極度の睡魔に襲われた結果であって、
決して酔っ払ったからでは無いと、追記しておこう。
それに、ヴィヴィと同じテーブルにいたクリスが、止めに入らなかったのも。
双子の兄は、妹の体調と飲酒量をちゃんと把握していて「まだ全然問題なし」と、了承していたからである。
「す、すご……」
若干引き気味のリーに、ヴィヴィはにっこりし、
「ね? 私、メイクとか変じゃない?」
ライバルの前でスカートの裾を翻しながら、くるりと回って見せる。
「ん? ああ、いつも通り “カワイイ” よ? ドレスも清楚で素敵」
自分もアジア系の癖に、童顔のヴィヴィをからかうリー。
「むぅ……。メイクとか、濃くない?」
まだ少し残っているクマをコンシーラーで隠し、後はアイメイクと ほんのり色の付いたグロスを乗せただけ――のヴィヴィのメイクに、リーは吹き出した。
「あははっ ヴィヴィが厚化粧だったら、私なんて超厚化粧になるよ~」
「そう? 良かった~」
薄い胸に片手を添え、ほっと安堵するヴィヴィに、リーは にやにやしながら追及してくる。
「ん~~? もしやこれから、誰かと会うの? あ、まさかの王子様っ!?」
「~~~っ!? んな訳無いでしょっ ありえない。絶対ありえないっ!」
小さな頭の中に、無駄にギリシャ彫刻の男を思い浮かべたヴィヴィは、速攻否定した。
「ぶはっ そんなに力一杯 否定しなくても。ちゃんといつも通りに可愛いよ。自信持ちなよ?」
べちっと背中を叩かれたヴィヴィ。
「ありがと♡ リーもチャイナドレス、超似合ってる。今日の写真、速攻HPに載せるんだ~♡」
「私も~。次に一緒になるのは、世選?」
来年の3月末に行われる世界選手権。
その前に2月頭に四大陸選手権があるが、双子はヒラリー・ターム(2学期)の真っ最中なので不出場だし。

