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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第10章     

 ちなみに昨日の関係者打ち上げで、シャンパン1杯で爆睡したのは、酒に酔ったからではなく。

 精神的肉体的に限界状態のところに、酒を口にして緊張状態から解放された途端、極度の睡魔に襲われた結果であって、

 決して酔っ払ったからでは無いと、追記しておこう。

 それに、ヴィヴィと同じテーブルにいたクリスが、止めに入らなかったのも。

 双子の兄は、妹の体調と飲酒量をちゃんと把握していて「まだ全然問題なし」と、了承していたからである。

「す、すご……」

 若干引き気味のリーに、ヴィヴィはにっこりし、

「ね? 私、メイクとか変じゃない?」

 ライバルの前でスカートの裾を翻しながら、くるりと回って見せる。

「ん? ああ、いつも通り “カワイイ” よ? ドレスも清楚で素敵」

 自分もアジア系の癖に、童顔のヴィヴィをからかうリー。

「むぅ……。メイクとか、濃くない?」

 まだ少し残っているクマをコンシーラーで隠し、後はアイメイクと ほんのり色の付いたグロスを乗せただけ――のヴィヴィのメイクに、リーは吹き出した。

「あははっ ヴィヴィが厚化粧だったら、私なんて超厚化粧になるよ~」

「そう? 良かった~」

 薄い胸に片手を添え、ほっと安堵するヴィヴィに、リーは にやにやしながら追及してくる。

「ん~~? もしやこれから、誰かと会うの? あ、まさかの王子様っ!?」

「~~~っ!? んな訳無いでしょっ ありえない。絶対ありえないっ!」

 小さな頭の中に、無駄にギリシャ彫刻の男を思い浮かべたヴィヴィは、速攻否定した。

「ぶはっ そんなに力一杯 否定しなくても。ちゃんといつも通りに可愛いよ。自信持ちなよ?」

 べちっと背中を叩かれたヴィヴィ。

「ありがと♡ リーもチャイナドレス、超似合ってる。今日の写真、速攻HPに載せるんだ~♡」

「私も~。次に一緒になるのは、世選?」

 来年の3月末に行われる世界選手権。

 その前に2月頭に四大陸選手権があるが、双子はヒラリー・ターム(2学期)の真っ最中なので不出場だし。

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