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第11章 　 　 　 　

　映像はリンクの中継映像から、昨夜の女子ＦＳの映像へと切り替わる。

「はい。ＧＰ中国杯　２位の竹内　粋（21）選手、ＧＰフランス杯　３位の宮平　知子（26）選手という、お姉さん達をぴょんと飛び越え。シニア初参戦にして　“全日本選手権２位”　という快挙を達成した　渡辺 凛果（15）選手が、世界選手権への切符を掴み取りました。このニューヒロイン誕生に、世界中から注目が集まることでしょう」

　櫻井の淀みない説明に、女子アナが続く。

「そして、回転不足を取られたとはいえ、公式戦で３回転アクセルに果敢にチャレンジしてきたその姿は、感動を与えてくれましたね」

　そして。

　リンクをバックに映し出された男女２人が　にこやかに告げたのは、一晩限りの祭典の始まり。

「さあ、この３日間。激闘を繰り広げた日本の選手達が、最高の演技で締め括ってくれます」

「いやあ、本当に楽しみですね。さあ聖なる夜を彩る　メダリスト・オン・アイス２０２３　いよいよ、開演です――！」



『今年の全日本選手権は、予想外の展開で幕を開けた――』



女子３位――本田　まりな（23）

『205.18――！！』

『ＳＰ４位からの逆転！』

　ＦＳのフィニッシュポーズで、感極まって涙する姿。


女子２位――渡辺　凛果（15）

『降りたっ！？』

『３回転アクセルっ　何とか着氷しました――っ！！』

　キスアンドクライで順位を確認し、目を真ん丸にする　まだ幼い少女。


女子１位――篠宮　ヴィクトリア（21）

『３回転アクセル＋３回転ループ』

『出ましたガッツポーズ！　全日本女王の意地、しかと見せつけた！』

　金の頭上から握り締めた両拳を振り下ろす、引き締まった表情。