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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第11章
そしてその日の夜。
富士山テレビでは、フィギュアスケート関連番組が放送されていた。
「名古屋市総合体育館のリンクでは、今、全日本選手権エキシビション――メダリスト・オン・アイスの直前練習が行われています。櫻井さん、選手の皆さん、本当に良い表情をされていますね?」
広いリンク全景を映し出していた映像が、リンク傍に佇む女子アナと、某グループの男性アイドルに切り替わる。
「昨日とは打って変わって、選手達の表情も明るくて、笑顔が見られると僕達もほっとしますね?」
「本当ですね」
リンク上では、来年の世界選手権に派遣される代表者による、グループナンバーが振付されている。
その振付をふざけながら確認していたヴィヴィと渡辺 凛果に、
振付担当の宮田 賢治が、苦笑いしながら拳骨を落としている姿が映し出された。
「激しい代表争いを繰り広げた選手たちが、今日は同じ仲間として一つの作品を作ってくれる。これもフィギュアの魅力だと思います」
櫻井の明るい声に、画面は女子シングルの各選手を映し出す。
「さあ、リンクでは、本田選手、渡辺選手、そして篠宮選手が、プレッシャーから解放されリラックスした様子です」
男子シングルは、21歳トリオが何故か睨めっこをし。
その傍では、アイス・ダンスのアルフレッド渋谷が、スマホで動画を撮っていた。
「一方、代表入りは果たせなかった宇野選手、川畑選手達もリンク上で笑顔を見せています」
「今朝、引退を表明した加藤 莉緒菜(26)選手の姿もありますね」
GPシリーズにも参戦していた選手の勇退は、各メディアでも取り上げられていた。
「さて、櫻井さん。今年の女子は “思わぬ番狂わせ” がありましたね?」