この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第11章
「まりな、ヴィヴィ。先につまみ食いしておいて、良かったな?」
アイス・ダンスの鈴木 賢太郎のその暴露に、本田 まりなが仰天する。
「ちょ~~っ!? 何でそれをバラすのよ~~!」
「え? どこ食べちゃったんですか?」と女子アナ。
「ここ。後ろならバレないだろうって」
男子シングルの島田 高四郎が、カメラマンに摘み食いの箇所を指差す。
「「わ~~っ 撮っちゃダメ!」」
ケーキの前に掌を翳し、焦る女子の先輩2人に、まだ15歳の渡辺凛果が、あどけない表情で笑っていた。
「クリス選手。毎年クリスマスが全日本で、中々楽しめないかと思いますが?」
マイクを向けられたクリスだったが、通常営業の無表情で続ける。
「……確かに。ただ、試合会場でも、いつも傍にヴィヴィ、いるので……」
そのまさかの発言に、
「って、ノロケかよ!?」
「シスコンかよ!?」
島田と西森の21歳男子に、両脇からべしっと突っ込まれたクリス。
項垂れたところを、ペアの下城 舞に「よしよし」と、金の頭を撫でられていた。
「そんな、麗しい兄妹愛(?)も伺えたという事で――最後に皆さんで、テレビの前のファンの方にクリスマスメッセージをお願いします」
やりたい放題のこの場を収めようとする女子アナのフリに、周りにいた関係者が苦笑していた。
アイス・ダンスのマリア渋谷の「せ~の」の声掛けに、皆が一斉に笑顔で両手を振り、
「「「「メリークリスマ~~ス!!」」」」
と合唱し。
「良い子の皆は、最後まで見てね?」
ペアの成田 達樹の抜かりない締めに、そこに居た皆が爆笑したのだった。