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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第11章        

「まりな、ヴィヴィ。先につまみ食いしておいて、良かったな?」

 アイス・ダンスの鈴木 賢太郎のその暴露に、本田 まりなが仰天する。

「ちょ~~っ!? 何でそれをバラすのよ~~!」

「え? どこ食べちゃったんですか?」と女子アナ。

「ここ。後ろならバレないだろうって」

 男子シングルの島田 高四郎が、カメラマンに摘み食いの箇所を指差す。

「「わ~~っ 撮っちゃダメ!」」

 ケーキの前に掌を翳し、焦る女子の先輩2人に、まだ15歳の渡辺凛果が、あどけない表情で笑っていた。

「クリス選手。毎年クリスマスが全日本で、中々楽しめないかと思いますが?」

 マイクを向けられたクリスだったが、通常営業の無表情で続ける。

「……確かに。ただ、試合会場でも、いつも傍にヴィヴィ、いるので……」

 そのまさかの発言に、

「って、ノロケかよ!?」 

「シスコンかよ!?」

 島田と西森の21歳男子に、両脇からべしっと突っ込まれたクリス。

 項垂れたところを、ペアの下城 舞に「よしよし」と、金の頭を撫でられていた。

「そんな、麗しい兄妹愛(?)も伺えたという事で――最後に皆さんで、テレビの前のファンの方にクリスマスメッセージをお願いします」

 やりたい放題のこの場を収めようとする女子アナのフリに、周りにいた関係者が苦笑していた。

 アイス・ダンスのマリア渋谷の「せ~の」の声掛けに、皆が一斉に笑顔で両手を振り、

「「「「メリークリスマ~~ス!!」」」」

と合唱し。

「良い子の皆は、最後まで見てね?」

 ペアの成田 達樹の抜かりない締めに、そこに居た皆が爆笑したのだった。







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