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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第11章        



 だが、その30分後――



 ヴィヴィの姿は予約していた26階の客室ではなく、その遥か上の49階――コンシェルジュ・フロアにあった。

 レースカーテンの遮りさえ無いガラス窓の先、広がるのは200万人都市の夜景。

 クリスマスツリーが飾られたリビングスペースには、脱ぎ散らかしたままの2着のスーツ。

 そして、

 黒のパンプス。

 革ベルト。

 グレーのベスト。

 それら点々と散らばる指標を頼りに廊下を進めば、暗闇の落ちたベッドルームに辿り着く。

 ぐちゅぐちゅと淫秘に響く、あられもない姫鳴り。

 そして、バツバツと肌を打ち付け合う音。

「ふ……ぁっ やぁ~~っ も、イッちゃ――」

 金の頭を乗せた羽枕を両手で掴んでいたヴィヴィが、切羽詰まった嬌声を上げれば、

 その細腰を掴み上げていた男が、にやりと意地悪く嗤った。

「こら。そんなに高い声で啼いたら、コンシェルジュに聞かれちゃうぞ?」

「……~~っっ!?」

 弾かれた様に枕から両手を離し、口を覆うも。

 弱い膣裏を丹念に擦られれば、細い指先の間から零れ落ちる甘ったるい声。

「ぁんっ あ、やらぁ……、ま、待っ」

(やんっ 声、出ちゃうよぉ……、そんな、ゴリゴリされたらっ)

 口許を押さえながら、イヤイヤと首を振るヴィヴィの両手を、苦笑した男が包み込む。

「ふ。冗談だよ。ヴィクトリアのこんな愛らしい声、俺以外には絶対、聞かせたりしないから」

 切れ長の瞳を細めたその人――匠海は、愛おしそうに指先に口付けを落とすと、大きめの唇でにっと笑み、

「だから、もっと感じてごらん?」

 そんな恐ろしい言葉と共に細い両手首を掴むと、そのままガツガツと突き上げ始めた。

「ひぁっ!? あっ ダ、メぇ……っ ぁ、アっ ぁあ……っ」

 力なく開脚した細い両脚の間。

 手首を支点として腰を振る兄の姿は、あまりにも刺激的だった。

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