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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第12章      

「ヴィヴィったら、クリスがどこに行ってるか、知ってるノ~?」

 泥パックを洗い流し、すっきりした顔で缶ビールを煽るダリルの問いに、

 化粧水を馴染ませていたヴィヴィは「ん~~」と、曖昧な相槌を返していた。

「まあ……。パパラッチされなきゃ、別にいいんだけどネ」

「ふふ。クリスに限っては、だいじょうぶでしょ~~」

 昔からしっかり者で、色々と抜かりない双子の兄には、全幅の信頼を寄せている。

 間延びしたヴィヴィの返しに「まあ、確かにネ」と同意したダリル。

 缶ビールを受け取り、1口だけ味見させて貰っていると。

 やはり納得出来ないのか、缶を奪い返したダリルは一気にそれを飲み干した。

「てか、アタシでよくネ? ガールフレンド、アタシでよくネっ!?」

 大きな掌の中、ぐしゃりと空き缶を握り潰す同居人。

 思わず「あはは!」と破顔したヴィヴィにも、ダリルは悔しそうに地団駄を踏む。

「あははじゃないわヨっ! アタシめっちゃ尽くすし、超テクニシャンなのにィ~~っ!!」

「……テ……っ!?」

(テ、テクニシャン……!? そのテク。し、知りたいような知りたくないような……ごくり)

 家事全般が得意なダリルが、尽くすタイプなのは知っていたが。

「超テクニシャン」と己で言い切るくらいだから、余程の腕の持ち主なのだろう。

 目を白黒させるウブ(に見える)なヴィヴィが面白かったのか。

「ん? なあに? アタシのベッドテク、教えてあげマショウカ~~?」

 若干、絡み酒になり始めたダリル。

「け、結構れふっ」

 思わず語尾を噛んだヴィヴィに、やや丸顔の男の顔には、悪そうな笑みが広がっていく。

「まあまあ、照れなさんナ。今夜はトコトン、このダリル様が ご教示しちゃうわヨ~~❤」

 一人でそう盛り上がる同居人から逃げ遅れたヴィヴィは、ズルズルと2階の彼の部屋へと連れ込まれ。

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