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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第12章
説明すると――
年末年始をフランス保養地で過ごしたダリルのお土産――泥美顔パックを、互いにやり合いっこしていたのだが。
元来くすぐったがりのヴィヴィと、その愛らしい顔にモミアゲやらチョビ髭やらを泥で描こうとするダリルの悪戯で、
何だか しっちゃかめっちゃかな状態になり、今に至っている――
「誰がお化けですってェ~~?」
妹の腰の上、男にしては細身なダリルが、伸し掛かったまま不満気に喚けば、
「クリスもやろうよ、泥パック!」
ソファーの座面に押し倒されたままのヴィヴィが、ケラケラ笑いながら双子の兄にも泥試合(?)のお誘いをかける。
「あ~……。遠慮しておく……」
無難に誘いを断ったクリスだが、何故かダウンコートを着込んでいてモフモフだった。
「あらン? クリスったら、今から お出掛け~?」
「うん……」
「なんだ、残念~~。寒いから、気を付けてね?」
ここ最近、オックスフォードの夜中の気温は氷点下を切る事もあり。
心配したヴィヴィは、23時に外出する双子の兄に注意を促しておいた。
「大丈夫、ありがと……。行ってくるね……」
くしゃくしゃになった長い髪を、指先で軽く整えたクリスは、最後につむじにチュッとキスを落とした。
「あ! 私も! “行ってらっしゃいのチュー” するっ!!」
“顔面泥だらけの自分にチューされるクリス” を想像して面白がったヴィヴィが、両腕伸ばして強請るも、
双子の兄の返事は、
「残念だけど、汚れるから、遠慮しとく……」
という当然のもので。
外出するクリスを見送った後も、お留守番の2人は賑やかに泥試合の続きを行ったのだった。
≪補足情報≫
執事・朝比奈はすぐ傍に住んでおり、この屋敷には通いで仕えてくれてます