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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第13章
東京駅からバスで2時間。
到着した最初の目的地は、富士急ハイランドだった。
富士山 = 富士急とは、何の捻りもない観光地だが、
それでも普段 遊園地など行く時間に恵まれぬ現役選手6名は、諸手を挙げて喜んだ。
男性アナの説明など、馬耳東風。
園内案内パンフを、頭を突き合わせながら覗き込んだ6名は、
男の癖に「絶叫系が苦手」等とぬかす島田 高四郎を羽交い絞めに、数々の絶叫コースターへと向かった。
足元ぶらんぶらん、座席自体が14回転もする “ええじゃないか” は、
脱・天地無用 と言わんばかりに空中に放り出される感覚に、常に高速回転している筈のスケーター達も、若干ふらふらになったし。
空に向かい垂直に伸びるレールを、コースターが巻き上げられたかと思えば、
そこからS字を描きながら121度もの落下――という、えげつない “高飛車”
「絶叫系ばっか、嫌だ~~っ!」
と泣きの入った高四郎により、まだまだ攻め足りない5名は不承不承、他のアトラクションで手を打つ事にしたのだが。
今度はヴィヴィが、
「絶対っ ぜっっっったいに、私はムリぃいいいいい~~っ!」
と断固拒否した “最恐戦慄迷宮-暗黒病棟-” に、高四郎に引っ張られて行く始末。
ヒールの底を削り取られながら、ズルズルとアトラクションの前まで拉致されたヴィヴィは、
2階建て廃墟病院の外壁に足場が組まれている、その物々しい雰囲気に完全に竦み上がった。
「……っ!? む、無理っ ムリムリムリムリっ し、しぬぅ~~……っ」
クリスの背中に隠れ、ぶるぶる震えるヴィヴィに、
「だぁ~~いじょうぶだって!」
「ほら、俺ら6人だし。ヴィヴィ真ん中にして守ってやるから。な?」
「皆で行かないと、つまんないよぉ~~っ」
皆は口々に懐柔しようとしてくるが、しょっぼい遊園地や学園祭のお化け屋敷でも、
足を踏み入れるだけで失神寸前のヴィヴィの耳には、届いていなかった。
(いや……っ ほ、ホントむりだしっ てか、ち、チビる!)