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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第13章
「ん~~……、そうだなあ……」
そこにいる皆が、興味津々に己に注目しているのを感じ、秘かに小さく嘆息し。
「……嘘を吐かない人……かな?」
頭を捻った末、何とか絞り出したその答えに、待っていた2人はウンウン頷いた。
「あ~~、それは最低限ね~」
「異性としてって言うより、人間としてね~」
その同意の言葉に、ヴィヴィもゆっくりと首肯する。
「うん。それさえ守ってくれれば、もう、どんな人でもいい」
(というか……。私は もうどんな人でも、愛せないし……)
心の声を誤魔化す様に、へらあと締まり無い笑みを浮かべたヴィヴィに、
「ハードル低っ」と、トモエが突っ込み。
次いで、
「私は てっきり、ヴィヴィは「ダイヤモンド沢山買ってくれる人!」って言うかと~」
最新のエキシビをなぞり、そんな突っ込みを寄越してくれた粋に、
緩み切っていた小さな顔が瞬時に引き攣る。
「ぅあっ!? そ、それだっ! くぅ~~っ しくじったぁ~~っ!!!」
カウンターテーブルの上、白地の浴衣から覗いた拳を握り締めたヴィヴィは、心底悔しそうにそう唸り。
終いには ぽかぽかとテーブルを叩くヴィヴィに、その場にいた全員が「ぶっ」と吹き出した。
「あははっ」
「粋、超 冴えてる!!」
せっかく着せて貰った浴衣も肌蹴んばかりに、椅子の上で仰け反りウケている2人に、
「や、やり直しっ ね、撮り直していい?」
顔の前で両手を合わせ、そう泣きの1回を懇願したヴィヴィだったが。
「だ~~め~~」
「世の中そんなに甘くな~~い!」
トモエと粋に却下されたヴィヴィは、己のしくじりを誤魔化す様に、目の前のカクテルを一気飲みしたのだった。
翌日――4月9日(火)
男女6名は、ガイドの案内で青木ヶ原樹海を探険する、アウトバック・アドベンチャー・ツアーに参加し。
どこまでも広がる原生林や溶岩洞窟といった大自然を、探検家気分で満喫したのだった。