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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第13章
2時間スペシャル番組にしては、撮れ高は充分過ぎたらしく。
「もしかしたら、別日に1時間の特別番組を組むかもね」
と満足気なディレクターの言葉と共に、1泊2日に渡った、
『今シーズンもお疲れ様!
フィギュア・チーム21と巡るワクテカ富士山ツアー!!』
は終了したのだった。
「ふう……、これで今週だけは ゆっくり出来るね」
皆と別れ、乗り込んだタクシーの中。
ヴィヴィは同乗している牧野マネージャーとクリスに、そう話し掛けた。
「さすがに、ちょっと疲れた……」
と、珍しく弱音を吐くクリスに、
「ほんと、今週末の大阪のショーは、不参加にして正解だったな」
そう続けた牧野は、瓜二つの顔に疲労を滲ませた双子を見やり、少し心配そうに続けていた。
3週間前:世界選手権 in スウェーデン
2週間前:STARS ON ICE in 愛知
1週間前:国別対抗選手権 in 埼玉
今週 :ロケ旅行
来週 :STARS ON ICE in 代々木
立て続けに国際試合とショーが詰め込まれた、上記の強行スケジュールだが、
本来なら今週末の STARS ON ICE in 大阪 にも参加要請が来ていた。
しかし、スケジュールが過密過ぎる事と、日本滞在中に振付師・宮田 賢二に、新シーズンの振付を受けねばならず。
泣く泣く大阪のショーは見送ったのだ。
「2人とも、とにかくゆっくり休んで、無理だけはしないようにな? 身体を壊しては元も子もないんだからね」
マネージャーの忠告に首肯した双子は、そのまま真っ直ぐ松濤の篠宮邸に戻ると思われたが。
一旦、ヴィヴィを皇居傍で降ろしたタクシーは、男2人を乗せたまま夜の街へと消えて行った。