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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第14章
『どうして兄が、今頃になって自分に干渉し始めたか――?』
その理由をさらりと言ってのけたヴィヴィに、匠海は彫りの深い眉間を寄せ反論した。
「違う」
「何が違うの?」
「………………」
「お兄ちゃんもバカよね。どうして、よりによって私なの? もっと近くにいる女性でいいじゃない。そうしたら、いつでも会える」
そこまで正論を述べた妹は、ふと何かに気付いたように微かに頷く。
「ああ、それとも、他にもいるんだ? 私は何号さん?」
「……――っ お前しかいない! 俺はお前しか愛していないって、何度も――」
「より取り見取り揃えてるんだ? 私みたいなロリ系と、お姉さんみたいなスタイルいい人。じゃあ、他には巨乳さんとか?」
兄の弁解を遮り、大きな瞳を動かしながら続けるヴィヴィ。
「俺には “お前だけ” だ」
頑なにその主張を変えようとしない匠海に、薄い唇から漏れたのは 微かに疲労を滲ませた苦笑だった。
「ふふ。スレンダー系しか興味ないんだ。でも私みたいな女子、いくらでもいるでしょ? もういい加減、ぺちゃぱい枠から解放してくれない?」
「嫌だ」
短く妹の懇願を退けた兄だったが、次にヴィヴィが発した言葉に、灰色の瞳は限界まで見開かれた。
「それとも、中に出せないから? 私以外はピル飲んでないの? でもさ、お金払えば飲んでくれるんじゃない?」
「……お前……」
「ていうか、私がピル飲まなくなったらどうするの?」
「そんなもの、避妊するに決まっているだろう!」
今まで市井の事には初心(うぶ)だと思っていた妹から、「金で自由に出来る女を買え」と言われた事に気分を害したのか。
いささか語気を荒げた匠海にも、その顔を下から覗き込むヴィヴィの表情には怯えなど全く無かった。
「ふうん。じゃあ、どうして中に出したの?」
「え?」
「飲んでないよ、私」
「……は……?」
バスローブ1枚に、寝起きのボサボサ頭。
それだけでも大分 間抜けな匠海がぽかんと口を開く姿は、更に間抜けに見えた。