この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第14章        

『知らなかった……?』

『ああ。現代音楽かつ邦楽で新しい試みだったし、緊張感のある曲はヴィヴィに合うと思って、安易にOKしたんだが――』

 そこまで言って黒縁眼鏡を外した宮田は、Tシャツの裾でレンズを拭いながら深い吐息を零す。

『だが、小説を読んで気が変わった。悪いが この曲は振付けられない。理由は「LULU」を断ったのと同じだ』

 五輪の翌シーズンに依頼したFSの曲名を持ち出した宮田に、小さな顔がすっと強張る。

 2年前、何人もの振付師から断られた「LULU」。

 その中でも宮田は、引き受けられない理由を明確に口にしていた。



「どうして自分を傷付ける様なことをする? 

 何故もっと自分を大事にしない? 

 俺は自傷行為の幇助(ほうじょ)なんてする気は無い」



 ふるふると金の頭を振るヴィヴィは『ち、違います。誤解です』と、宮田を思い留まらせようとしたが。

『悪い、無理だ。他の曲に変更するか、若しくは振付師を変更してくれ』

 全く聞く耳を持とうとしない宮田は預かっていたCDを押し付けると、クリスの振り付けへと戻って行った。

『……そんな……』

 リンクサイドに取り残されたヴィヴィは、あまりの事に頭が真っ白になり、

 ふらふらと観客席の1つに腰を下ろした。

 昨シーズンの最終戦である国別対抗戦を終えた翌日からTV企画の旅行という、慌ただしい日常を送っていた自分は、

 今から4日前、関西に本拠地を置く宮田に、Skypeで振付の曲を伝えていた。

 振付の依頼自体はずいぶん前に了承を貰えていたし、ヴィヴィも ぎりぎりまで選曲を悩んでいたから、

 そんな余裕の無いスケジュールになってしまった。

 そこは自分の非を認める。

 けれど宮田には、昨日から明日までクリスのFSを振付し、

 明後日から3日間で自分のFSをお願いしているのに、今更そんな事を言われても。

/1163ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ