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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第14章
「I've seen what I was
And I know what I'll be
―過去の自分も見たし
未来の自分も分かってる
I've seen it all
There is no more to see
―何もかも見た今
もう見るものは何も無い」
風車を模したウィンドミルスピンの締め括りは、
氷面へと深々と突き立てた、右腕の拳。
レールの繋ぎ目を跨ぐ車輪の軋み。
そして、男達の抑揚の無い歌声。
『You've seen it all
―君は全てを見た
And all you have seen
You can always review on
Your own little screen
―君だけの心のスクリーンに
今まで見たものは いつでも映し出せる
The light and the dark
The big and the small
―まばゆい光も 漆黒の闇も
大きなものも 小さなものも
Just keep in mind
You need no more at all
―だから心に刻むがいい
これ以上は 要らないと』
右脚で踏んだディフィカルトターンは、大の字を描きながら跳び上がったのち、
また同様の軌跡を左脚で踏み分けられる。
体幹の複雑な動きに、1秒遅れでしなりながら追随する細長い手足。
束ねる事無く下された金の髪が、眩い照明にハレーションを起こし。
白煙の様にくすぶりながら、華奢な上半身に纏わりついていた。
『You've seen what you were
And know what you'll be
―過去の自分も見たし
未来の自分も分かってる
You've seen it all
There is no more to see
―何もかも見た今
もう見るものは何も無い』
両腕で上半身を抱き締めてのレイバックスピン。
男達の歌声が途切れ、徐々に速度を落としていく回転。
解けた回転軸にふらつき、その場に立ち尽くしたヴィヴィは、
やがて俯きながら両掌で顔を覆い――