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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第14章
「ヴィクトリア……。ヴィク……トリア……っ」
顔は見えなかったけれど、そう己の名を連呼する兄の声は、まるで泣き出す一歩手前のものだった。
昔は自分の方がしょっちゅう「だっこして」「ぎゅ、して」と、行為中に兄に強請っていたっけ。
「お兄ちゃんは、手と中、どっちが好き?」
「どっちも、ヴィクトリアなら、どっちでも……っ」
いつもの憎たらしいほどの冷静さを欠いた匠海が、抱擁を深めてくる。
「ふうん。じゃあ、最後も手にする?」
「……――っ」
淡々と確認した妹に対し、兄の狼狽ぶりはあからさまで。
「ふふ、苛め過ぎたね。次いつ会えるか分かんないもん。いいよ」
両腕を兄の腰に回し、自分からもギュウと抱き付き、
「だから、ヴィヴィの中、いっぱい出してね?」
黒髪から覗いた耳元に、そう甘ったれた声でおねだりすれば、
次の瞬間には、華奢な躰は黒いシーツの上に押し倒されていた。
驚きの声を上げる薄い唇に、大きめのそれが貪り付き。
シャツの裾から伸びた両脚は、肌蹴た胸の上へと押し上げられ、
繋がったままだったそこを、がむしゃらに突きまくられる。
嬌声も吐息も零させぬ深く執拗な口付けに、若干 酸欠気味になったヴィヴィ。
ようやく唇を解放された頃には、大きな瞳はトロリと快楽に蕩けていた。
「ああ、好きだっ ヴィクトリア……っ」
餓えた獣の如く がっついてくる切羽詰まった姿に、
必死に縋ってくる瞳に、
ヴィヴィは至極 満足そうに、うっとりと微笑んだ。
「おにいちゃん。凄く、いい……っ
もっと、もっとシて――?」