この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第15章     

「あら、どうして?」

 一番盛り上がる曲の核部分を否定する教え子に、振付師は納得いかないと先を促してくるが。

 まさか突っ込まれると思わなかったヴィヴィは、小さな顔に微かな当惑を浮かべ。

 やがて困った様な笑い顔を作ると、ぽそっと理由を口にした。

「ん~~、別に大した理由も無くて……。ただ、あの旋律は綺麗過ぎて、私にはそぐわないって思っただけ」

 テーブルを囲んでいた面々に落ちた、一瞬の静寂。

 しかし、

「それに、ルトスワフスキの2台のピアノは、スリリングで前衛的で、私に合ってると思うし?」

 そう続けられたヴィヴィの言葉に、皆は一様に納得し頷いたのだった。






「観たわよ、新たなエキシビ」

 ロシア人の助手がディナーのテーブルを片付け始め、クリスがバスを使う為に席を立った途端、

 そう切り出したジャンナは、一昨日・昨日と日本で4回だけ披露したエキシビション・ナンバーについて語り始めた。

 既に動画サイトに映像がUPされており、ロシアのニュースでもその一部が流されたこと。

 フィギュアやバレエといった芸術に関心の高いロシアに於いて、多方面から絶大な支持を得ていること。

 彼女の口から伝えられた好評価らしい、己で振付けたナンバー、

 映画「Dancer in the Dark」より “I've seen it all”

 しかし告げたジャンナには笑顔も無ければ、受け取るヴィヴィにも嬉しそうな様子は ひとかけらも無かった。

「コーチは? 怒られなかった?」

「……良い顔は、されませんでした」

「でしょうね」


 双子のヘッドコーチであるショーン・ニックスは、基本的に教え子の選曲に口は出さない。

 余程 不釣り合いな曲であったり、プログラムに必要なエレメンツを組み込むのに無理があったりしない限り。

 兄妹が音楽の知識に長けていることを尊重し、かつ 曲に己を投影して滑るタイプの人間であると、重々承知しているからだ。

/1163ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ