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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第15章
ロシアから英国・オックスフォードへ渡った双子は、
その翌週――4月29日(月)から第3学期・トリニティータームに突入し。
中でもヴィヴィは魔の8週間の始まりと同時に、新たなシーズンに向けて改良されたトレーニングを開始していた。
3月17日(月)~23日(日)スウェーデンで行われた世界選手権2024。
昨シーズンを締め括る競技会のキス・アンド・クライで、ヴィヴィはショーンコーチにお願いしていた。
『自分に足りない集中力と瞬発力。それを来シーズンに向けて培いたい』――と。
かくして、ヘッドコーチをはじめサブコーチや柿田トレーナー、そして渡英後から世話になっているチームドクターの助言を受け、
取り組み始めたのはインターバル・トレーニング。
トレーナーの管理下、7分間全力で滑り1分間休息。
それを5セット繰り返すのだが、休息といっても低強度で運動し続けている。
ゆえに途轍もなくキツかった。
息も整わぬ間に次の全力の練習が来てしまう。
3セット目あたりから脚がガクガクになり、最後の5セット目では意識朦朧状態。
以前から大学の講義がある平日は6~7時間、それ以外の日は10時間のトレーニングを熟していたヴィヴィにとってみても、
己から言い出したそれは過酷を極めていた。
毎晩フラフラ状態の教え子を、柿田トレーナーは故障させぬよう念には念を入れてマッサージして自宅へ帰し。
本来ならそこから翌日の予習をせねばならぬのに、私室に足を踏み入れた途端に爆睡してしまうヴィヴィは、
翌日の早朝 悲鳴と共に覚醒し、何とか勉学の為の時間を設けている状態だった。
そんな極限状態だったからであろうか――?
週末、既に過ぎ去った5月1日と2日の双子の誕生日を、遅ればせながら祝うパーティーの席で、
早々に酔っぱらい正体不明になってしまったヴィヴィは、クリスに2階の私室へと運び込まれた。