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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第15章
トリニティーターム(第3学期)も3週目に突入した――5月17日(金)
常と同じく朝練を終えたヴィヴィは、あくびを噛み殺しながらカレッジ付属のライブラリーにいた。
未だ慣れぬインターバル・トレーニングで疲労の蓄積した身体は、シーズンインまで大分あるというのに既に極限まで絞られてしまい。
管理栄養士から支給されたゼリー飲料を咥えつつ、大きな瞳をギョロギョロさせ驚異の速読で関連書物を読み漁るその姿は、
「なんか、最近のヴィヴィ、昆虫ちっくで怖いぃ~~っ((( ;゚Д゚)))」
と、カレッジの教職陣・学生達を脅えさせていた。
15分で厚さ5cmのそれを読破したヴィヴィは、記憶が薄れる前にとラップトップPCに箇条書きで要点と疑問点を入力していく。
ちなみに本日の予定は――
9時 レクチャー:ミクロ経済学応用
10時 NGO団体代表を招いての講演・インタビュー
いったん屋敷に戻り、昼食を採りつつ来週のチュートリアルへの研究
なじみのカフェで友人達とティーブレイク
16時 エッセイ再読み込み
17時 エッセイ提出締切
帰宅後、楽器を触ってリンクで夜連
(あ……、そういえばチューターから「ペーパー届いてるから取りに来るように」ってメッセージ来てたな)
酷使した目頭を揉み込みながら席を立とうとした時、
適度な静けさが保たれたライブラリーに前触れもなく響いたのは、ドタバタと駆け込んでくる足音。
「ヴィヴィ! ああ、あそこにいたワっ!」
「……? へ? え……?」
開け放たれたままの大きな扉から現れたのは他でもない、同居人のダリルで。
いきなり大声で名指しされたヴィヴィがキョトンとする中、遅れて現れたクリスがデニムに包まれた長い脚で駆け寄って来る。