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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第15章
へリンボーン柄の大きなソファーへ腰を下ろした兄の隣、しぶしぶ座ったヴィヴィは、
薦められたグラスを取る事も無く、いよいよ薄紅色の頬をこれでもかと膨らませて抵抗した。
「可愛い……」
「……っ か、可愛いとかじゃなくって! ねえクリス、パリに行くの? どうして?」
「うん……。目的地はパリじゃなくて、その先のニース、なんだけどね……」
らしくもなく言葉を濁す双子の兄に、妹は更に追求しようと身を乗り出したが、
しかしそれは、双子の目前のスウェード張りソファーに腰を下ろしたダリルによって遮られた。
「ヴィヴィ~~? こんな恩着せがましいこと言いたくないけれド。私達、これまでヴィヴィのフォローとか、結構してあげたと思うのよネ?」
「へ……? あ、う、うん。それはそれは……、本当に申し訳ないくらいに、2人の手を煩わせたかと……」
「じゃあ、たまには私達の我が儘、聞いてくれてもいいんじゃないノ~~?」
「う、う゛ぅ……。た、確かに……」
タイトなミニスカートから伸びる曲線美を、見せ付けるように組み直す同居人の言い分は最もなこと。
執事不在の時は、双子の為にバランスの取れた食事を嫌な顔一つせず用意してくれるし。
明るくサバサバした性格のおかげで、彼(彼女?)といると楽でいつの間にか笑っている。
それに、今は思い出す事さえ憚られる元執事の一件。
その際、ダリルには多大なる迷惑と心配、そして手間を掛けさせてしまっていた。
「ダリル……。そんな恩を売るようなマネ、しなくても……。ヴィヴィは良い子だから、いつも感謝の気持ちを持って、僕達に接してくれてるって……」
そう一見庇っているように見えるクリスの言葉尻からも、何故か有無を言わさぬ強引さが滲み出ていて。